カテゴリ:レスタオラドーラの一日( 5 )

エスタンダルテ

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エスタンダルテ(または、バンデイラ)は、英語でバナー(または、フラッグ)、日本語で横断幕のことです。
実は、妊娠後期から出産後の数日間で、エスタンダルテの保存/修復を手がけてました。

ポルトガル・アルカイダにある教会の所有物で、13枚ある横断幕のうちの一つです。
100年程前の横断幕も預かったのですが、それはさすがに劣化がひどく、シルクの繊維もボロボロになっていたので、いじるのが怖くて断りました。ただし、今回私が修復した物は、比較的最近のもので、シルクも丈夫だったので、引き受けたのです。

基本的な作業は、布のシミや汚れを取り除く/タッセルやロープの汚れを取る/布の破損部の修復/酸化した金具類の処理/弱った部分の布の強化/絵の修復などです。


妊娠40週くらいからチョコチョコと作業を始め、しゃち君が産まれる前に完了したかったのですが、
結局間に合わず。出産後、母が日本から来ていたのもあり、のんびりプラプラしてたら、教会側から(イースターで使うので)急いで欲しいと連絡があり、必死に作業した一枚です。

このような教会の横断幕は、聖日のプロセッションの時に使われます。
要するに、復活祭等で、教会から町への行進の際に掲げられるのです。
日本で言えば、御神輿に当たるでしょうか。

実際私が修復した横断幕での行進は見られなかったけど、とても奇麗に仕上がったので、教会関係者のみならず、町の人々も喜んでくれたのではないかと、信じております。

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by megimei | 2010-06-01 06:27 | レスタオラドーラの一日

職場/仕事関係2

【肖像画の保存&修復】

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現在作業中の天井画とは、関係ないのですが、仕事の一貫として、個人所有物、セルバンテスの肖像画の保存と修復を手がけました。
修復前(上)と修復後(下)の写真を見ていただければ、その違いは、一目瞭然です。
まぁ、個人的には、修復前の黄ばんだ状態の絵も嫌いではないですが、汚れによって、書かれている文字が読み取れなかったり、色の減り張りがなかったり(例えば、バックグラウンドと、髪の毛)と、さっぱりしてあげた方が、絵も嬉しいでしょうね。

作業中は、とんでもない過ちを犯してはいないか、常に冷や冷やと落ち着きませんでしたが、終了後、以前の状態の写真と見比べて、見違えるような結果だったので、自分でも驚いてしまいました。
これが私の、初の completed piece となりました。貴重な体験をありがとうございます。
ところで、皆さん、ドンキホーテの著者、セルバンテスの若い頃の顔ってご存知でしたか?


☆注:最後の写真は、表面の汚れを取るにあたって行う、テスト中のもの。
スペイン画家、セルバンテスが描いた、ミゲル・セルバンテスの肖像画のコピーであることが分かりました。絵のタイトル「Miguel Servantes」のスペルが本来の「C」(Cervantes)と綴られていないのが、本物でない証でもあるでしょう。

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by megimei | 2009-11-11 07:45 | レスタオラドーラの一日

職場/仕事関係1

【以外にも知らない、カタコンベの存在】


大体どこの教会のも存在するらしいです。
リスボンエリアで言えば、リスボン大地震で崩れた後に、再現された教会が多いので、その時の死者や、建築時に出てきた遺骨を埋葬する目的で作られているのでしょう。
他にも、洗礼を受ける寝室になっていたりと、色んな用途があったのかもしれませんね。

私が現在修復を行っている教会は、元々は13世紀くらいのものだったみたいです。
この教会のカタコンベは、祭壇の下にありました。
中央の赤い絨毯をペロンとめくると、床に抜け穴を発見。
ノミと金槌をポッケに、肩にロープをかけ、頭にはライト・・・と、気分はまるでインディアナジョーンズでしたが、行き着いた場所は、猫の額ほどの、ミニ小部屋。
抜け穴から(木枠を壊して)三段程階段を降りたところに、それはあったのでした。
写真をご覧あれ。

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by megimei | 2009-11-11 07:33 | レスタオラドーラの一日

絵の修復

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現在私が作業している教会の天井画について、細かく説明することにしました。
私が、天井がキャンバスになっていると言ったのが、多くの誤解を読んだみたいなのだが、分かり易く言うと、布。麻布で覆われています。

一体、教会の天井全体をどうやって布で覆ったのかと言いますと、何枚もの布を縫い合わせ、巨大な布を作ります。
そして、約30センチ幅おきに、縫い代のようなものを(縫い代そのものの部分もある)を平行に縫い付けます。
最後に、天井てっぺんから内側に、縫い代を利用して、釘を打ち付けてあるのです。布を巻いておいて、上からクルクル・・・とおろしながらやったのでしょうね。
布が天井面に釘付けられてから、クレという石工を動物のりで溶いたようなものを塗り付け、いわゆる私たちが良く知っているキャンバス状のものが出来上がるのです。
こうして、表面が白く固まったら、上から絵を描くだけです。


さて、話しは変わりますが、この教会にも、現在修復している、天井画以前のものが出てきました。それは、もちろんフレスコ画です。
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きっと昔は教会も、私たちが良くするように、リフォームみたいな事をしたのでしょうね。
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by megimei | 2009-07-13 07:19 | レスタオラドーラの一日

教会で働いています

教会で働いています。
・・・宗教がらみでは、ありません。

Conservação e Restauro (Conservation & Restoration)の仕事をしています。
この仕事をする人のことを、Restautadora (Conservator?) といいます。
私は、3月半ばから、そのRestautadoraになりました。
日本語で言えば、「(古)文化財保存修復師」とでも言うのかしら?

以前から興味があった仕事なので、毎日新鮮で面白いです。

私がやることになった仕事は、Igreja de São Pedro de Barcarena (バルカレナ
の聖ペテロ教会)の天井画(19世紀)の保存修復です。
なんと、フレスコではありません。全てキャンバス・・・布なのです!
300~400㎡程の天井に布が釘付けられているのには、正直驚きましたが、
そのダメージの大きさには、更に驚き、一瞬焦りました。
教会が雨漏りしていた時もあったそうで、酷い場所などは、布が風化寸前の状態。
指で触れると、「パッ」と粉になるようです。
「どうするのぉ~!!」と日々ハラハラしながら、馬鹿デカイ絵画と向き合っている
のです。
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私達の基地。ここに全ての道具材料を置き、細かい作業も出来るようにしている。天井画のキャンバスは、赤矢印のある部分(教会の壁と天井を仕切る部分=Sancaと呼ばれている。)から始まっている。足場は、1階、2階とある。
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天井画

<私の一日>
まずは掃除しなくてはなりません。
キャンバスの表面のほこりや蜘蛛の巣を筆等でそっとなぞりながら、掃除機で
吸い取ります。
たまに、掃除機の口を近くにやりすぎて、「ズボっ!」とボロっちい布が吸い込ま
れてしまい、内心すっごく焦りつつも、「どんまい、どんまい」根性で作業を進ませて
いきます。
日本語でも知らないような専門用語が飛び交うのですが、それらはどうにか、
前後の会話や、皆のジェスチャー、表情等でついて行ってます。
分からない時は、正直に聞きますが、間違えた時は、「ごめ~ん、ボ~ッとしてたよ。
ハハハ。」と誤魔化し、知っている振りをしています。
実際は、ボ~ッとしているどころか、何が起きているか常にキャッチできるよう、
神経張り巡らせているので、このまま行けば、修復師になる前に、霊能師になって
しまうのでは、という勢いです。


本人は、技術・能力の高い日本人の力量を見せてやろうぞ!という意気込み。
サムライ・スピリットで、毎朝教会へ通っております・・・。
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by megimei | 2009-04-20 08:17 | レスタオラドーラの一日